多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は不妊原因ですか?
妊娠4回、5~6週での流産も4回。
4回の流産のうち3回目と4回目は、昨年の不妊治療継続中の出来事です。
「もう流産したくないから」とご相談に来られました。
体調についてお伺いすると、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を指摘されクロミッドとデュファストンを服用しながら1年半にわたりタイミング療法を受けておられます。
ときに妊娠するため、それが流産となっても次回の妊娠を期待して通院を続けてきた、と言われます。
しかし今回の流産を受け、不育症検査や治療のステップアップをすすめられ、どこか釈然としない気持ちになって漢方で体質改善を試してみたいとのことです。
PCOSの方は生理周期が不規則(30~90日など)になり、無排卵期間が長くなるため不妊の要因の一つとされています。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、卵巣内に多数の未成熟な卵胞が形成されることで排卵が起こりにくくなり、生理不順を引き起こす疾患です。
「排卵障害」の中では最も一般的で、生殖年齢の女性の約5~8%に見られるとされています。
診断には、血液検査では男性ホルモンが高値、LH値が高値の他、AMH(抗ミュラー管ホルモン)が高い場合もPCOSの可能性が考えられます。
不妊治療の場では、排卵誘発剤を用いたり、インスリン抵抗性に対してメトフォルミンなどの薬が処方されたりします。
外科的治療として、腹腔鏡手術によるレーザー処置で卵巣表面に小さな穴を開け、排卵を促す方法(LOD=腹腔鏡下卵巣多孔術)も選択されることがあります。
西洋医学的に原因がはっきり解明されていないPCOSですが、漢方では体質的側面から排卵周期を安定させていきます。
一陽館薬局では、気血水の調和の乱れに着目して処方を組み立てます。
➀「気」の問題=「肝気のめぐり」
➁「血」の問題=「瘀血(=血流の滞り))
➂「水」の問題=「痰湿」
上記3点以外に、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の場合は「脾虚」(=胃腸が弱い)傾向が見られるのが特徴的です。
卵巣機能を補う「補腎薬」で卵子の発育に必要な「精」を養うことに合わせて、ストレスが多く(量的にも感性的にも)自律神経に乱れが考えられる場合は「疏肝理気薬」で自律神経を整え、「瘀血」「痰湿」のようなため込み体質では代謝を改善して老廃物をうまく排出するよう、お一人おひとりの状態に応じ適切な漢方薬をおすすめします。
PCOSの明確な原因は医学的には不明ですが、漢方では体質改善によりPCOSを発生しないような体づくりを目指すことができます。
今回のお客さまの場合は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の傾向はあるものの、生理周期は35~40日程度ですから、自然妊娠を視野に漢方をおすすめしました。
排卵誘発剤の影響でOHSS(卵巣過剰刺激症候群)の傾向もあり、かといって排卵が安定しているとも言い切れない状況もあり、最近は遺残卵胞も発生しており、生理周期そのものも不安定な様子がみられるからです。
ところで、今回のお客さまの流産の原因を漢方的にあげてみますと、多嚢胞性卵巣以外にも「生理痛がひどい」という点があげられます。
医学的に不妊原因ではなくても、自然妊娠も数回あり、多嚢胞性卵巣といっても生理周期はある程度安定しており、生活面では多忙とストレスを抱えておられることを考えると、「瘀血」が根底にあり卵巣では排卵、子宮では着床しづらい状況があることも想定されます。
多少の排卵日のズレを正すことができたとしても、「瘀血」が改善されなければ卵子にも子宮内膜にも良質な栄養が届きにくいのです。
一陽館薬局では、不妊治療の最大限の活用法を含め、より好ましい状況で排卵や着床が可能になるよう、適切な子宝漢方でお一人おひとりに寄り添います。
まずは、ご相談いただくことが解決への一歩です。
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