夏の基礎体温とオリモノ
暑くなると、基礎体温やオリモノの変化に戸惑う方が増えてきます。
基礎体温が全体的に高め、低温期が高い、低温期の日数が少ない、生理周期が短いなど、特に生活面に変わりがないのに生理周期に乱れが生じることがあります。
うまく体温調節できていない方や、治療期間が長引いている方は、体内に「熱」がこもりやすい状態にあり、その余剰な熱によるバランスの崩れが卵子の質や着床環境に影響を及ぼすことが懸念されます。
一見「冷房で冷えている」と感じても、実は体の深部に余分な熱を抱え込んでいるケースは少なくありません。
これは漢方でいうところの「陽盛(ようせい)=熱が過剰」な状態であり、本来その熱をコントロールし、冷却と潤いを与えるはずの「陰(いん)」の力が不足していることが背景にあります。
<妊娠に理想的な基礎体温>
◎卵胞発育期(低温期)の適温:36.2~36.4℃
◎着床期(高温期)の適温 :36.7~36.9℃
特に、全体的に体温が高すぎたり、低温期の体温が36.6℃以上にまで上がっているような場合は、卵胞の成熟に必要な安定した環境が得られにくくなっていると考えられます。
「陰」の不足によって起こりやすい変化をチェックしてみてください。
・排卵期前にオリモノが増えない
・月経期以外の期間を通じてオリモノが少ない
・経血量が徐々に減ってきた
・子宮内膜がなかなか厚くならない
これらは、体内の潤い(=陰液)が不足しているサインといえます。
漢方では、陰陽のバランスが崩れることで卵巣機能や子宮環境が整いづらくなり、結果として妊娠の成立を妨げると考えます。
とくに夏は、外気の暑さに加え、冷房や冷たい飲食物による体表の冷えと、内部の熱こもりが混在しやすい季節です。
こうした複雑な状態は、気づかないうちにホルモンバランスや自律神経にも影響を及ぼし、基礎体温やオリモノの変化として現れてくるのです。
漢方的な視点から、夏の体づくりでは、体を単に「冷やす」のではなく、余分な熱を穏やかに「冷ます」と同時に、潤いを補うことが大切です。
具体的には、
・身体の熱をやわらげる「清熱薬」
・潤いを補う「滋陰薬」
・自律神経を整える「疏肝薬」
などを用いながら、その人の体質に合わせてバランスを整えていきます。
「熱のこもり=代謝がいい」と思われがちですが、妊活においては、落ち着いた体内環境と、しっかりと潤った子宮が求められます。
一陽館薬局では、25年にわたる相談実績をもとに、漢方で内側からバランスを整えることを目ざし、質の高い卵子と妊娠力に貢献していきます。
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