先天の精・後天の精〜卵巣機能と漢方〜
“卵巣機能を守れ!“と号令をかけたくなるご相談があります。
半年以上、治療もむなしく卵胞の発育が確認されず、薬でリセットを繰り返しでこられた人が、桃福宝2カ月のご利用で今周期は3日目に小さな卵胞が2つ。
そこでなんとかこれを獲得しようとホルモン注射を開始し1週間後、結局育たずリセットすることになってしまいました。
AMHが0.1以下のお客さまからのご相談も多く、リミットを意識した体づくりは容易い課題ではありません。
成功するかどうかの違いは、私は、“覚悟“ だと思います。
年齢、妊娠率、卵巣機能、といった条件をふまえ、“それでもやる“かどうかなのです。
病院で散々ホルモン剤や排卵誘発剤を使い、最先端の治療を受けてこられ、それで結果が出ていないところに、漢方も取り入れたら、1〜2ヶ月で成果が出るかといえば、当然、無理な話ではないでしょうか?
今回は、卵巣機能へのダメージを最小限にしながら、できるだけ卵巣の機能が長持ちするよう考えていきます。
不妊治療の現場で最も注目される指標のひとつが「卵巣機能」です。
卵巣は、卵子を育て、排卵し、黄体ホルモンを分泌するという、まさに妊娠における司令塔のような存在です。
しかしこの卵巣機能は、年齢や生活習慣、そして心身のストレスに大きく影響を受けやすく、気づいた時には能力が低下しているケースも見受けられます。
卵巣機能を評価するに、FSHやE2、AMH(抗ミュラー管ホルモン)などのホルモン値から推測され重要な指標とされます。
特にAMHは、卵巣内にどれくらい卵子のもととなる「原始卵胞」が残されているかの目安となり、卵巣の“予備力”を示す値です。
年齢とともに自然に低下していくものではありますが、数値が急激に下がっている場合や、治療中にもかかわらず改善が見られない場合は、卵巣そのものに強い負荷がかかっている可能性も考えられるのです。
漢方では、卵巣機能の低下は主に「腎精の不足」としてとらえられています。
「腎」は成長・発育・生殖を司る重要な臓であり、生まれつきの体質(先天の精)と日々の生活で養われる力(後天の精)のバランスによって、その働きが左右されます。
つまり、漢方的には“卵巣は腎の精を使って動いている”ということになるのです。
また、漢方では「血」の充実も卵巣機能に欠かせないと考えます。
卵胞の成長、排卵、黄体化といった過程は、すべて豊かな血流と深い関わりがあります。
特に冷えやストレス、過労が続くと「肝」の働きが滞り、血の巡りが悪くなって卵巣にも栄養が届きにくくなります。
これを「瘀血」と呼び、放置すれば卵巣の働きが鈍るばかりか、卵子の質そのものにも影響を与えるとされます。
では、どうすれば卵巣機能を守れるのでしょうか。
漢方では、腎を補い、血を養い、巡りを整えることを基本とします。
「補腎薬」に分類される生薬は、体の内側から生殖力を高め、「駆瘀血薬」は骨盤内の血流を改善します。
さらに、「心肝の調和」を図る処方を用いることで、ストレスによるホルモンの乱れを整えることも可能です。
加えて、生活の中での小さな養生が卵巣を守る大きな支えとなります。
睡眠をしっかりとり、冷えを避け、ストレスを溜め込まず、血をつくる食事を心がけること。
そうした積み重ねが、治療効果を高め、卵巣の“年齢”を少しでも若く保つ助けになります。
検査数値に一喜一憂しすぎず、漢方をの叡智を取り入れて卵巣を労わることは、妊娠だけでなく、女性の一生にわたる健康にもつながります。
今からでも遅くないはずです。
※ブログで取り上げて欲しいテーマはInstagramDMまたは公式LINEメッセージにて受付中
◎陽子先生妊活Instagram
この記事へのコメントはありません。