卵子の質への影響~低温期の条件とは~
妊娠のための必須条件である「卵子の質」を高めるためにはどうすればいいのか、妊娠を希望されている方のほとんどが抱えているテーマではないでしょうか。
特に体外受精を続けていると、採卵を繰り返すにともなって卵子の質の低下が目立ってきてしまう、というケースも珍しいことではありません。
不妊治療を続けている期間分だけ、年齢が進んでいくことで「卵子の老化」につながっているのかもしれませんが、原因は”年齢のせい”だけではないかもしれません。
というのも、年齢(月数)が積み重なっていく中にあっても、漢方を始めると卵子の質が向上する減少も珍しくないことだからです。
不妊治療を続けている時間の進み方と漢方を継続し続ける時間の進み方は同じで、平等に時間は進んでいくはずですが、漢方によって時計は逆回りしなくても、お体は補えば現時点よりも充実した状態になることができる可能性があるのではないでしょうか。
期待する「卵子の質」のために必要なことを挙げてみたいと思います。
「卵子の質」は、当然のことですが排卵日や排卵直前に決まるものではなく、卵子が育ち始める「低温期」の過ごし方や体の状態こそが、その後の卵子の質に大きく関わってくることを忘れてはならないと思います。
生理周期の生理が始まってから排卵までの期間である低温期に卵巣では新しい卵胞が育ちはじめ、約2週間かけて排卵に向けた準備が進められます。
一般的に、基礎体温は「低温期」と「高温期」があり、生理が始まると体温は下がり、それが約2週間続いたのちに排卵をきっかけに体温が上昇し、高温期に移行します。
この波形が二相性になっているか、低温期と高温期の差が0.3~0.5℃程度あるか、また、低温期が安定しているかどうかは、ホルモンのバランスや卵胞の育ち具合を知る手がかりになります。
たとえば、低温期の体温がガタガタと上下して不安定な場合、ホルモン分泌の乱れや自律神経のバランス不良が影響している可能性があり、低温期が極端に短かったり長すぎたりする場合も、卵胞の成長がスムーズに進んでいないことも考えられます。
では、この低温期にどのような条件を整えることが、質のよい卵子を育てることにつながるのでしょうか。
ポイントとなるのは「血流」です。
卵胞が育つためには、卵巣に十分な血液が届くことが欠かせません。
冷えやストレス、過労などが続くと血行が滞り、卵巣へ酸素や栄養が届きにくくなり卵子の成熟を妨げてしまうのです。
日常生活で「手足が冷える」「お腹が張りやすい」「肩こりがつらい」といった自覚症状がある方は、まず体を温める生活を意識することから始めてみましょう。
お風呂にしっかり浸かる、温かい飲み物を摂る、生ものを避けるなど小さな積み重ねが、体質をつくっていく礎となります。
また、脳と卵巣でのホルモンのつながりも大切です。
低温期には、脳下垂体から分泌される「卵胞刺激ホルモン(FSH)」の働きによって卵胞が成長しますが、このホルモンの分泌は生活習慣やストレスの影響を受けやすいことが知られています。
夜更かしや不規則な食生活、精神的にも緊張状態が続くと、ホルモンのリズムが乱れ、卵胞の成長を抑制するよう働きかける可能性もあります。
やはり、十分な睡眠と、ストレスをうまくリリースする時間を確保することが、ホルモンバランスの安定にもつながります。
私のカウンセリングの中で、時々見受けられるのが「温めすぎ」です。
もちろん冷えに傾くのは好ましくありませんが、低温期は”低温であるべき時期”なので、強引に温めようとして体内に熱がこもってしまうと、イメージとしては熱湯で茹で上げた”ゆで玉子”のように、急激に加熱されて固く引き締まって、弾力や潤い分が足りないものになってしまうのです。
基礎体温も本来は低温で推移しようとする体の動きに対して、無理に体温を引き上げようとするためアップダウンが激しいガタガタした不安定な状態となってしまい、卵子の発育過程も不安定なものとなるため「良質ではない卵子」につながると考えています。
偏らず、根拠のない情報を鵜呑みにして振り回されることのないように、しっかりとご自身に必要な体づくりを重ねることが結果的には効率の良い妊活だと思います。
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