卵子の質と“ミトコンドリア“ケア
連続して採卵していると、「受精するのに育たない」「胚盤胞に届かない」中には「胚盤胞になったもののグレードが低く廃棄」といった状況をうかがうことがあります。
今回は、卵子の質に関わる要素としてミトコンドリアの働きに注目してみたいと思います。
卵子1個の中には、10万〜60万個のミトコンドリアが存在します。
一般的な体細胞は数百〜数千個であることからすれば、卵子の質に対するミトコンドリアの占める役割はとても大切になります。
卵子の細胞分裂・受精・胚の成長を支えるためには膨大なエネルギーを必要とするのです。
専門データでも、
・高齢の卵子では、ミトコンドリア数が約30〜40%減少し、機能も低下する(Human Reproduction, 2016)。
・ミトコンドリア機能が低い卵子は、染色体異常率が上昇し、胚の分割速度が低下する(Nature, 2015)。
などの報告があり、「卵子の質」にはミトコンドリアの元気さが反映されると考えられています。
ミトコンドリアが弱ると起きること
●染色体の分配エラー
卵子が成熟する際に行われる“減数分裂”では、大量のエネルギーが必要であり、ミトコンドリアが疲弊すると、うまく進まず染色体異常が増える傾向があります。
●受精後の分割が止まりやすい
胚が2細胞→4細胞→8細胞→桑実胚→胚盤胞と育つには、途切れないエネルギー供給が必須となりますが、ミトコンドリアが弱いと途中で成長が止まり “胚盤胞に届かない” 原因になります。
ではミトコンドリアを元気にするにはどうすればよいのでしょうか。
加齢による弱りだけでなく、生活習慣・ストレス・栄養状態・冷え・睡眠の質に大きく影響されます。
つまり、ある意味“努力が反映されやすい”と言えるかもしれません。
ミトコンドリアの再生は 睡眠中に最も活発になり、運動時にはミトコンドリアの新生(増えること)が促されること、また、抗酸化物質はミトコンドリアDNAの損傷を軽減することも科学的に確認されています。
日常生活でも、少しミトコンドリアケアを意識してみましょう。
◎糖質のとり方
急激な血糖値上昇はミトコンドリアの酸化ストレスの増大を招きますので「食べる順番」の工夫が効果的です。
◎睡眠の質を高める
深い眠りはミトコンドリア修復の時間となります。
眠りが浅い方は漢方での睡眠の質を高めることもおすすめします。
◎軽い運動で“ミトコンドリア新生”を促す
ウォーキングや下半身の筋トレは特に有効。
運動後に新しいミトコンドリアが作られやすいことが分かっています。
◎抗酸化力のある食材をとる
鮭、青魚、ブロッコリー、ナッツ、緑黄色野菜はミトコンドリアDNAを守ります。
◎冷えの改善
卵巣の血流が上がる → 酸素供給が増え → ミトコンドリアが働きやすくなる
一陽館薬局では、漢方で熟睡をサポートすること、酸素供給を増やすこと、冷えの改善などで成果を上げていくことができます。
漢方でミトコンドリアの働きを底上げするには、「腎精の不足」「血の不足」「気の滞り」に注目して改善していきます。
・腎を補う漢方 → 卵子の根本力にアプローチ
・血を養う漢方 → ミトコンドリアが働く材料を補う
・気を巡らせる漢方 → 卵巣の血流を改善しエネルギー効率を高める
特に、“冷え+疲労+生理量の不足“が重なるとミトコンドリアが弱りやすくなりますので、漢方での体質改善はおすすめです。
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