体外受精は近道のはずなのに
漢方は時間がかかる、だから手っ取り早く体外受精を選びます、とよく言われます。
その一方で、「体外受精なら、もう少し早く結果が出ると思っていました」と言われるかたも後を絶ちません。
妊活のご相談をお受けしていると、戸惑いの声を耳にすることがあります。
先日、採卵を終えられた方も、採卵自体はとても順調で、複数の胚を凍結することができました。
数字だけを見れば、希望を感じられる経過です。
けれど、体外受精に進むと決めてから実際に移植に至るまでには、説明会、準備周期、採卵周期、採卵後の回復、そして移植周期と、いくつもの段階があります。
一直線に結果向かっているようですが、実際には、数か月単位、場合によっては年単位で通院を続けておられる方も少なくありません。
「自然妊娠が難しいなら、早めに体外受精へ」
「時間との勝負だから、できるだけ急ぎたい」
という考え方は、とても理解できます。
今回の方は、年齢的にも比較的余裕があり、検査上の大きな異常は見つかっていませんでした。
それでも診断としては「原因不明不妊」。
結局、なぜ妊娠できないのかは、医学的には分からないのです。
体外受精は、医療技術によって“妊娠のきっかけ”を作る治療です。
けれど、その受精卵を迎え入れ、育てていくのはご自身の身体です。
どれほど高度な医療であっても、
・子宮内膜の状態
・卵子の質
・ホルモンバランス
・血流や冷え
・着床環境や自律神経の状態
など、さまざまな条件が整っていなければ、力が十分に発揮できないことがあります。
「受精卵を戻せば、あとは運任せ」ではなく、着床できる身体であるかどうかが、結果を左右する大きな分かれ道になることも少なくありません。
だからこそ、治療を進めながら、あるいは治療の合間に、身体を整える時間を持つことはとても大切なことといえます。
漢方では、妊娠を「結果」ではなく、「身体が整った先に自然と起こるもの」と捉えます。
補腎、補血、理気、温陽など漢方的視点から生理周期や日々の体調などを丁寧に確認しながら、その方にとって必要な体づくりを進めていきます。
すぐに目に見える変化が出ないこともあり、地道に感じられるかもしれません。
けれど、一見遠回りに見えるこの時間が、結果的に「妊娠しやすい身体」への近道になることも、私たちは多くのお客さまから経験してきました。
治療が長引くと、「次こそは」「もう時間がない」という思いが強くなります。
その緊張や不安は、知らず知らずのうちにホルモンバランスや血流に影響を与え、身体をこわばらせてしまうこともあります。
一陽館薬局では、身体だけでなく、気持ちの状態も含めて、“整え方“を一緒に考えていきます。
体外受精は、妊活の「終着点」ではありません。
むしろ、そこから本当の意味で身体と向き合う時間が始まる方もいらっしゃいます。
少し立ち止まり、自分の身体の声を聞こうとされるその姿勢こそが、次の一歩につながると、私たちは信じています。
一陽館薬局は、急がせることも、諦めさせることもありません。
お一人おひとりのペースで、必要な準備を重ねていく妊活に、しっかりと寄り添い続けたいと思っています。
妊娠への体づくりに近道はないかもしれません。
でもあなたにとっての最短ルートはあるはずです。
※ブログで取り上げて欲しいテーマはInstagramDMまたは公式LINEメッセージにて受付中
◎陽子先生妊活Instagram




この記事へのコメントはありません。