不妊の一端?~PMSの根本改善から~
生理前になると、イライラ、不安感、下腹部の張り、頭痛、眠気、過食傾向・・・こうした月経前症候群(PMS)の症状に悩まされている女性は少なくありませんが、他人には理解されにくい点も辛いところであり、心身ともに疲弊するトラブルの一つと言えます。
生活や仕事、人間関係にも影響を及ぼすことから、婦人科を受診して「低用量ピル」の処方を受ける方も増えてきました。
実際、ピルはホルモンバランスを一定に保つことで、月経前のホルモン変動による不快な症状を抑える効果があります。
今回は、
「症状を抑えているだけで、本質的な改善になっているのだろうか?」
ということについて、少し考えてみていただきたいと思います。
ピルは排卵を抑制することでホルモンの波を平坦化し、PMSを緩和することができる一時的には有効な対症療法です。
しかし、その作用機序の通り“身体本来のリズムを止めることで症状をコントロールする”ものです。
月経周期は女性の体にとって重要な生理機能であり、ホルモンの変動には意味があります。
排卵を止めるということは、すなわち「妊娠の可能性を一時的に遮断する」ということですから、将来的には妊娠を望む可能性があるなら慎重に捉えるべきではないでしょうか。
妊娠を望む時が来れば、ピルの服用をやめればいい?
本当にそれで大丈夫でしょうか。
というのも、私どもにご相談いただくお客さまの中には、年単位でピルを飲み続けておられた方が、いざ妊娠に向けてピルを手放してみたら卵巣機能が戻らない、とお困りのことがあります。
20歳代でもAMHは閉経間近の値になっていたりすると、急ぎ体外受精を!と急かされ、思いもよらなかった苦労を抱えることもあるようです。
また、ピルをやめた途端にPMSが再発する例も珍しいことではなく、つまり、ピルは症状の「根本解決」ではなく、「一時的な抑制」にとどまっていると認識しておくほうが賢明かもしれません。
漢方ではPMSは「気」「血」「水」の巡りの乱れと深く関係があると考えます。
体質タイプにより症状も特徴があります。
肝気鬱結タイプ:ストレスによって「気」が滞り、イライラ、乳房の張り、頭痛などが起こる
瘀血タイプ:血の巡りが悪く、月経痛や塊状の経血、下腹部痛などを伴う
脾虚タイプ:胃腸の働きが弱く、情緒不安定や疲れやすさが目立つ
漢方の目指すところは、こうした根本的な体質の改善です。
症状の背景にある「巡りの滞り」や「冷え」「ストレス」「栄養バランスの乱れ」などに対処し、体そのものが整っていくよう導きます。
このような事情からPMSの症状が強い方は、実は将来の妊娠・出産にも影響を及ぼす可能性があります。
ホルモンバランスの乱れや自律神経の不調は、排卵障害や着床障害など不妊のリスクと表裏一体だからです。
ですから、「PMSはただの月経前の不快症状」とやり過ごさず、体からのサインとして受け止め、将来を見据えた体づくりに取り組むことが大切です。
漢方では、体の声に耳を傾けながら、その方の体質やライフスタイルに合ったケアを提案します。即効性はピルに及ばないかもしれませんが、少しずつでも体が変わっていくことを実感できるはずです。
ピルで「抑える」から、漢方で「整える」へ変わってみませんか。
PMSは、「体の中に無理が生じている」というサインであり、ピルは一時的にそのサインを消してくれますが、根本の原因は残されたままです。
一陽館薬局では、ピルを「やめる」のではなく、体質を見極め、タイプごとに漢方薬で整え、ピルを必要としない体を目指すことをサポートしています。
早く対策をすれば、改善もスムーズに進みます。
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◎陽子先生妊活Instagram
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