2025.11.13

ホルモンバランスを知ろう

ホルモンバランスとは、まさに「生命を育むためのリズム」といえます。
あれこれ発展課題に向きあう前に、まずは”本来あるべきリズム”を知ることから始めましょう。

妊娠を切望するあまり、どうしても“結果”に気持ちが向きがちですが、実はその前に大切なのがカラダが本来持っているリズムを整えることにあります。
いわゆる「女性ホルモンの働き」です。

ホルモンは日常的に目にすることはありませんが、月経周期や心の揺らぎ、基礎体温の変化など、さまざまなサインとして表れています。
妊娠力を高める第一歩として、カラダの声はヒントとなります。

女性ホルモンは大きくエストロゲン（卵胞ホルモン）とプロゲステロン（黄体ホルモン）に分かれ、それぞれ違った役目を担っています。
どちらも月経周期を動かす「主役」といえます。

エストロゲンは、月経が終わってから排卵までの「卵胞期」に増えるホルモンで、卵子を育て、女性らしい体を整えます。
一方、排卵後に活躍するプロゲステロンは、受精卵を迎えるために子宮内膜をふかふかに整え、妊娠の成立を支えるホルモンです。
この二つが25〜35日の周期の中で交互に増減することで、整った月経周期が保たれます。

しかしホルモンバランスが乱れると、周期が伸びたり短くなったり、出血量が変化したり、心身の不調として現れることも少なくありません。
基礎体温の乱れとしても表れることがあります。

ホルモンバランスの乱れが“妊娠しにくさ”につながるケースを挙げてみたいと思います。
● 高プロラクチン血症
本来は授乳期に働くプロラクチンが過剰になることで、排卵や着床が妨げられます。
● 黄体機能不全
排卵後に分泌されるプロゲステロンが不足し、子宮内膜が十分に維持できない状態。着床の維持が難しくなります。
● 排卵障害
卵子の成熟がうまくいかず、排卵のリズムが乱れます。
どれも珍しいことではありませんが、早めに気づくことで改善の選択肢は大きく広がるでしょう。

漢方では、「体質」と「生活」の観点からホルモンバランスの乱れを確認し、“単なる数値の異常”としてではなく、心身のバランスが崩れているものとして捉えます。
女性ホルモンは、脳からの細やかな指令によって卵巣から分泌されるため、ストレス・疲労・睡眠不足などの影響を大きく受けるのです。
● 緊張や不安が続くと、脳のホルモン指令が滞りやすい
● 無理なダイエットは、ホルモンの材料となる栄養不足を招く
● 不規則な生活は自律神経を乱し、ホルモンのリズムに影響する
このような状況が積み重なると、月経周期のばらつきやPMS、生理痛、基礎体温の乱れとなって現れます。

漢方では、気血水のめぐりや体質の偏りを整えることで、女性ホルモンがスムーズに働きやすい環境をつくります。
体質が整ってくると、周期が安定し、卵巣の働きも本来の調子を回復しやすくなります。

妊活中は、治療や期待、周囲からの言葉…気づかないうちに心が疲れることもあります。
ストレスそのものをゼロにすることは難しいですが、心のリズムも大切なホルモン調整の一部と考え落ち着いて整理するよう心がけることも大切です。
● 心が休まる時間をつくる
● パートナーと気持ちを共有する
● 深呼吸や短い散歩で気分転換をする
といった穏やかな時間をもつことが、ホルモンバランスにとても大きく作用します。

ホルモンバランスは、ただ「増やす」「減らす」という単純なものではなく、お一人おひとりの体質・生活・心の状態によりつくり出される、繊細なリズムといえます。
もし周期の乱れや体調の変化が続いているなら、「整えてほしい」というメッセージを送っているのかもしれません。

一陽館薬局では、体質の見極めと生活アドバイスを合わせて、妊娠しやすい体づくりをサポートしています。
バランスを整えるには数か月（数周期）を要します。
焦らず丁寧に整えていくことで、確かな変化を重ねていきましょう。