ストレスが妊娠の妨げになるケースとは
妊活のご相談を受けていると、「ストレス」に関連するお話をよくお聞きします。
ストレスには心で感じる負担だけでなく、心の乱れはなくても体調に異変を生じることもあります。
感じ方も人それぞれですから、同じ出来事に対しどれくらいのストレスとして受けとめるかもさまざまです。
ストレスや疲労が“直接的に”妊娠を妨げるという科学的な証拠は十分ではありません。
ストレスそのものの量は血液検査のように数値で測れるものではなく、個人の感じ方や性格、置かれた環境によっても大きく異なるため、一概に因果関係を示すことは難しいのです。
医学的にはストレスが自律神経やホルモンバランスに影響を与えることは明らかになっています。
強いストレスが続くと、脳下垂体や視床下部の働きに影響し、排卵をコントロールするホルモン分泌が乱れ、生理周期の変化や排卵障害につながるケースもあります。
また、交感神経が優位な状態が続くと血流が滞り、子宮や卵巣の血流量が減少しやすくなるともいわれています。
漢方では、このように「心の負担」が体にまで影響している状態を「気滞」と呼びます。
気の流れが滞ることで、イライラや落ち込み、胸のつかえ、月経不順、肩こり、便秘などが起こりやすくなります。
さらに疲労が重なって体のエネルギーである「気」そのものが不足すると「気虚」の状態となり、だるさや冷え、集中力の低下なども現れます。
ストレスが長引くことで、気と水の巡りが乱れ、体内に余分な湿がこもる「痰湿」の体質に変化することもあり、ホルモンバランスの乱れや代謝の低下につながることもあります。
妊活中は、仕事との両立に悩まれている方もおられるのではないでしょうか。
仕事自体が不妊症の原因になるわけではありませんが、職場での人間関係や時間的プレッシャー、治療と仕事の両立への焦りが重なると、心の負担は確実に増していきます。
「頑張りすぎている」と気づいたときには、すでに体に違和感を感じていることもあります。
もし、自分ではうまく気分転換ができない、常にイライラや不安が続くという場合には、漢方の力を借りるのもひとつの方法です。
たとえば、気の巡りを整え、ストレスからくる月経不順や情緒不安に用いられる処方もあります。
気血の流れを穏やかに整えることで、心身の緊張をやわらげ、妊娠に向けた体の準備を整えてくれます。
妊娠力を高めるストレス対策は、特別なことではありません。
今日からできる小さな心がけが、体と心のバランスを整える第一歩になります。
・生活リズムを整える(ONとOFFをしっかり区別する)
・カラダの声に耳を傾ける(不調のサインを見逃さない)
・信頼できる第三者に話す(抱え込まない)
・十分な休養をとる(眠ることは最高の治療です)
・「できていること」「うまくいったこと」に目を向ける習慣をつける
妊活は、心と体の両方が整ってこそ実を結ぶものだと思います。
ストレスをゼロにすることは難しくても、「上手につきあう力」を身につけることはできます。
心のゆとりを少しずつ取り戻すことができれば、未来の妊娠力を高めるへつながると思います。
妊娠への体づくりに近道はないかもしれません。
でもあなたにとっての最短ルートはあるはずです。
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