「頑張っているのは、私だけじゃない」
男性不妊において漢方でサポートできることをお伝えしていきたいと思いますが、
まず、今回のブログのタイトル
「頑張っているのは、私だけじゃない。」
について、どう受けとめられましたか?
”私だけではないんだ”という心が和らぐ気持ちになられましたか?
”なんだかんだ言って私一人が頑張っている”という攻撃的な感覚になられましたか?
個人差はあると思いますが、どちらの受けとめかたも正解ですよね。
場合によっては行き来する感情かもしれません。
データ上は、不妊症の約半分、48%は男性にも原因があることが世界保健機関(WHO)の報告で明らかになっています。
けれど現実には、女性ばかりが検査や治療に向き合い、男性側の問題が見過ごされていることが少なくありません。
また、どうしても女性優先になる中で、男性は協力したい気持ちはあってもなかなか具体的な課題に向きあう機会が後回しになってしまうこともあるかもしれません。
通院を始めた当初にひと通りの検査を受けたものの、瞬く間にステップアップすることになり、必死で不妊治療スケジュール中心の生活に追われているうちに、立ち位置が見えづらくなっているご様子を伺うこともあります。
しかし、多くの場合で男性が検査を受けることに抵抗を感じるのも自然なことです。
結果を知るのが怖い、どこで何をすればいいのか分からない・・そんな思いを抱える方もいらっしゃると思います。
でも、現状を知ることは「責任を追及するため」ではなく、二人の目線を合わせ踏み出すための「出発点の確認」です。
ここから先を前向きに進めるために、まずはスタートラインを確認していただく行程ととらえていただきたいのです。
精液検査では、精液量・精子数・運動率・形態といった指標を確認します。
2010年WHO基準では、精液量1.5ml以上、精子濃度1mlあたり1500万個以上、運動率40%以上、正常形態精子4%以上が目安とされています。
しかしこの基準値は、過去1年以内に妊娠した男性の下位5%をもとに設定された“最低ライン”であり、この値を超えていても「問題なし」とは言い切れないかもしれません。
妊娠しづらい背景には、数値には表れない「精子の質」や「体のめぐりの滞り」が関連していることが少なくないのです。
これを”そういうタイプ”と受け入れてしまうはなく、積極的に”妊娠させることができる精子”を増やすための、体質や生活の改善に目を向けましょう。
精子は精巣の中でおよそ75日かけて作られます。
つまり、今作られている精子は約2〜3カ月前の体調や生活の影響を受けているということです。
女性の卵子が約半年かけて育つことを考えると、精子は変化のスピードが早く、日々の習慣次第で質を高めることが期待できるといえます。
漢方では、男性の造精機能を「腎」の力と関連づけて考えます。
腎は生命エネルギーの源であり、精子を生み出す力そのものをさします。
女性の卵巣機能、卵子の質と同様の意味合いになります。
加齢や過労、不規則な生活でこの腎の力が弱まると、精子の数や活力=「腎精」が低下します。
こうした腎の弱り=「腎虚」の状態には、生命力を補う補腎薬で造精力を高めていきます。
また、強いストレスや緊張の蓄積は、自律神経やホルモンバランスを乱し、精子の形成にも影響を与えます。
これを漢方では「肝鬱気滞(かんうつきたい)」と呼び、気の流れを整えることで心身の緊張をゆるめ、ホルモンの働きを整えます。
さらに、血の巡りが悪くなる「瘀血(おけつ)」の状態では、精巣への酸素や栄養が行き届かず、質のよい精子をつくる妨げとなります。
冷え、喫煙、飲酒、脂っこい食事、睡眠不足などが続くと血液が濁り、体の中の“環境”が悪化します。そんな時は、滞った血を巡らせて体の奥から整える「駆瘀血薬(くおけつやく)」を用います。
漢方の男性不妊治療は、ただ精子の数を増やすことだけを目的としたものではなく、それ以上に精を養い、血をめぐらせ、気を整えることで、体の本来の力を呼び覚ます「生命力を再起動させる」アプローチです。
妊活は、どちらか一方の努力では成り立ちません。女性の体を思いやるように、男性の体にも向き合うことが大切です。
お二人がそろってベースが上がっていけば妊娠の可能性はさらに高まっていきます。
一陽館薬局では、ご夫婦でのご相談も多く寄せられています。
「何から始めればいいかわからない」
「病院では異常なしと言われたけれど」
そんな時こそ、漢方をご活用ください。
体質や生活の中にある“改善できる余地”を一緒に見つけていきましょう。
妊娠への体づくりに近道はないかもしれません。
でもあなたにとっての最短ルートはあるはずです。
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◎陽子先生妊活Instagram




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