「塞がれば妊まず」
湿度の高い季節に体調を崩しやすい人は、漢方でいう、“水の巡り“が滞りやすい「水滞」や「痰湿」「痰濁」とよばれる状態がみられます。
漢方では、外から侵入する自然界の邪気を「外邪」と呼び、湿気が体に悪影響を及ぼすものを「湿邪」ととらえています。
「湿邪」は以下のような性質をもっています。
・重だるさ(重濁)
・長引く(粘滞性)
・下半身に停滞しやすい(下重)
湿邪が体に入り込むと、体内の「気・血・水」の巡りが滞りやすくなり、特に「水」(=津液)の巡りが停滞すると「水滞」が起こります。
これがさらに悪化・慢性化すると、粘り気を持った「痰湿」となり、さまざまなトラブルの原因にもなります。
子宮や卵巣周囲に「湿」がたまると、湿邪により「陽気」を損ない、体を冷やすことにつながります。
特に下半身に湿が滞ると、骨盤内の冷えを引き起こし、子宮や卵巣の血流の低下につながり、子宮内膜の発育不全、排卵障害、着床環境の悪化といった機能低下が起こりやすくなります。
また「痰湿」は「気」の巡りを妨げるため、視床下部—下垂体—卵巣系のホルモンバランスにも悪影響を与えると考えられます。
生理不順・高プロラクチン血症・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などは、痰湿が関与していると考えられるケースも多く見られます。
痰湿体質は、漢方では不妊に関連する婦人科疾患の要因として着目していきます。
●多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)=無排卵、肥満傾向、月経不順などが特徴的
●子宮筋腫=瘀血との複合病理も多くみられ、痰湿が塊として現れたものと捉えます
●子宮内膜症・チョコレート嚢胞=瘀血・湿熱・痰湿が絡み合ったもの
●高プロラクチン血症=肝鬱・気滞・痰湿によってホルモン分泌が不安定になった状態
これらの疾患は、痰湿によって「通じざれば即ち痛む」「塞がれば妊まず」という古典的な病理に該当し、不妊の原因として重要なポイントといえます。
湿度の高い季節には、体内の水分量の安定を意識しながら、旬の果物や野菜をうまく活用して代謝を整えましょう。
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