~「健康食品は食品だから安全」って本当?~より
健康食品の「食品」という単語には、「食べるもの=そんなに危険なものではない」といった安心感があるかもしれません。また、病気で治療中の患者さんの中には、「医薬品=化学物質で副作用のある危険なもの」「健康食品=食品であり天然・自然のものだから副作用がなく、どれだけ摂取しても大丈夫」といった誤解を抱いている場合も見受けられます。
ですが、食品が天然・自然のものだからといって、それは安全であることを意味しているわけではありません。「100%安全な食品はない」ということです。理由は2つあります。
ひとつ目はアレルギーの問題です。
「アレルギー」と聞くと、蕁麻疹(じんましん)や花粉症を思い浮かべることが多いかと思いますが、重症になるとアナフィラキシーショックという命にも関わる状態になります。
そして、あらゆる食品が、アレルギーの原因となる可能性があることを知っておいてください。、もし、自分にとってアレルギーの原因になりそうな成分が含まれていたら、利用を避けなければなりません。ふたつ目は量の問題です。
体に良いとされる食品でも、大量に食べれば、お腹が痛くなったり、下痢をしたりすることがあることは、皆さんも容易に想像がつくと思います。体にとって必要な水であっても、一気に大量に飲めば「水中毒」という死に至りうる状態になります。健康食品の場合、原材料となった食品は普段食べているものでも、ある成分だけを濃縮したり抽出したりして製品化されています。「たった一粒で、βカロチンがニンジン3本分!」などといった宣伝を見たことがある人もいるのではないでしょうか。そして、その製品がカプセルや錠剤であれば一度に大量に飲むことができてしまい、ニンジンに換算すると数十本分を摂取できてしまったりします。
そこで、ちょっと考えてみていただきたいのですが、普段、ニンジン30本を一度に食べることはあるでしょうか? 恐らくないと思います。もし、無理にでも食べたとしたら、腹痛や下痢に襲われたりして体調を崩してしまうことは明白です。
ですから、原材料となっている食品が馴染みのあるものでも、それから作られた健康食品は「全く別の食品である」ぐらいの感覚が必要になってくると個人的には考えています。
朝日新聞デジタル 2016年6月28日
http://www.asahi.com/articles/SDI201606240113.html
自分自身が選択し、ルールを守って使用する責任が求められる時代です。
健康ブームに様々な製品があふれる中で、品質と効果と正しい利用法を知ることが大切ですね。
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