五味で体を整える

漢方の考え方では、食材の“味”にも体を整える力があるとされます。
味は「酸・苦・甘・辛・鹹（かん）」の5つに分けられ、それぞれが「肝・心・脾・肺・腎」といった五臓に対応しています。
五味の特徴を知って、日々の食事に上手に取り入れてみましょう。

味 　　　　　　主な働き
酸味　　　　引き締め、汗や体液の漏れを防ぐ
苦味　　　　余分な熱や湿を冷ます
甘味　　　　体を補い、緊張をゆるめる
辛味　　　　発散・巡りを良くし冷えを防ぐ
鹹味　　　　腎を補い、硬いものをやわらげる

【酸(さん)味】肝に働く
血流を整え、情緒を安定させる
・汗や尿の出すぎを防ぎ、体の内側を引きしめる作用があります
・寝汗、頻尿、下痢、イライラなどにおすすめ
〈主な食材例〉梅干し、レモン、ゆず、桃、ざくろ、酢　など
〈摂りすぎ注意〉筋力低下、便秘、胃もたれを招くことがあります

【苦(く)味】心に働く
体内の余分な熱や湿を取り除き、クールダウン
・ほてり、動悸、焦りやイライラ、不眠の緩和
・体内の熱を冷まし、心身を落ち着かせます
〈主な食材例〉ピーマン、銀杏、ごぼう、菊花、緑茶　など
〈摂りすぎ注意〉冷え、肌の乾燥、抜け毛、肺や大腸の不調につながることがあります

【甘(かん)味】脾（胃腸）に働く
疲れた体と心をいたわる
・気（エネルギー）を補い、胃腸を元気に
・慢性疲労やむくみ、心身の緊張緩和に◎
〈主な食材例〉米、芋類、豆類、卵、ハチミツ、なつめ　など
〈摂りすぎ注意〉体に締まりがなくなる、むくみ、だるさ、骨が弱くなる原因になることも

【辛(しん)味】肺に働く
気血を巡らせ、冷えや寒さを発散
・全身の巡りをサポート
・発汗を促し、血流や体温を上げる
〈主な食材例〉ねぎ、生姜、ニンニク、しそ、山椒、唐辛子　など
〈摂りすぎ注意〉乾燥、爪が割れやすくなる、怒りっぽさにつながることも

【鹹(かん)味＝塩辛い味】腎に働く
体を潤し、腎を補う
・塊やしこりを柔らかくし、骨や泌尿器系のケアにも関係
・ホルモンバランスをサポート
〈主な食材例〉昆布、わかめ、のり、黒豆、貝類、塩　など
〈摂りすぎ注意〉むくみや下痢、血圧上昇を招くことがあります