精子を外部からの異物とみなし攻撃してしまう抗体は、男女いずれにも発生することがあります。不妊男性の6%、不妊女性の13%が精子の動きを抑制する抗体を持つとされています。
『抗精子抗体』は、女性では子宮頸管液、子宮腔、卵管内、卵胞液などに認められ、精液所見には問題がないのにフーナーテストが常に不良となります。男性では、精巣内、血中、精漿中などに認められ、精子の運動性を低下させる抗体の場合、精液所見は不良になります。
女性では『抗精子抗体』は、避妊をしない性交体験後に精子に被曝されたことによって産生されます。男性では、『精管閉鎖』や『精管結紮』のような場合に、精子が精管外に進出したことで異物と認識され、抗体が産生されます。
抗体価が10未満であれば人工授精により子宮頚管液での接触を避けることが可能ですが、子宮腔内、卵管内、卵胞液内の抗体との接触は避けられないため、抗体価が高い場合は体外受精でなければ妊娠は難しいとされます。
『抗精子抗体』は、アレルギー反応によってつくられます。アレルギー体質の改善には、体のバランスの崩れを立て直すことが必要です。また、漢方で生殖活動の根本をコントロールする「腎」の働きを整えることにより、免疫バランスが回復すると、本来の身体機能が発揮できるようになります。
とくに、不妊や流産の原因が不明な場合には、体の状態が整うことで妊娠が実現したり、治療成果が高まったりすることも期待できます。まずは、「体づくりから見直し漢方で整えるのも選択肢のひとつといえます。
腟内や子宮頸管内は、子宮内や腹腔内への細菌の侵入を防ぐため酸性に保たれており、精子にとって好ましい環境ではありませんが、排卵の数日前に卵胞の直径が10mmを超えると卵胞からのエストロゲン分泌の急激な増加により、頸管が刺激され、粘液が分泌されます。排卵直前の日に頸管粘液の量が少ないか、性状不良のため精子の侵入が障害されている場合など、頸管粘液の性状が精子の子宮内への進入に適さないものを頸管性不妊といいます。
頸管粘液の性状と妊娠は高い相関があり、頸管粘液が良好な場合は54%の妊娠率を示しますが、頸管粘液が不良の場合の妊娠率は37%に低下するという報告もあります。頸管粘液の分泌異常が起きると精子の頸管内への侵入が障害され、不妊となります。
子宮頸管の先天的異常、頸管内の炎症、『クラミジア感染』や『淋菌感染』、『子宮頸がん』の異型性や上皮内がん、卵胞発育障害または早期黄体化、などにより頸管粘液の性状不良や分泌低下が起きるとされます。
『クラミジア感染』や『淋菌感染』などによる頸管粘液の性状不良には、抗生物質などの投薬治療が行われます。不妊治療では、頸管粘液の影響を受けない人工授精が行われます。
頸管粘液の分泌に必要な、卵胞の発育とそれにともなうエストロゲン分泌を行うのは、生殖活動とホルモン分泌を担う「腎」の役割です。また、頸管粘液の性状を良好に保つには、代謝がスムーズであることも大切です。体全体の調子を整えながら、個々の体質や状態に応じて漢方薬を調整していきます。
漢方薬による体質改善は、不足している潤いを補い、バランスを整え、滞った巡りをスムーズにすることにより、子宮頸管粘液不全が改善され、妊娠しやすい体づくりにお役に立てることと思います。
妊娠を希望しているのに1年以上妊娠せず、不妊の6大基本検査(精液検査・フーナーテスト・頸管粘液検査・基礎体温・超音波検査および卵管疎通性検査など)で不妊原因が見つからない場合は、『機能性不妊(原因不明不妊)』と診断されます。不妊症のうち10~15%が該当。さらに腹腔鏡検査を行った場合は、不妊原因が特定できない割合は10%以下になります。
健康なカップルの周期あたりの妊娠率は25%ですが、機能性不妊と診断された場合は1周期あたり1.5~3%の妊娠率しか期待できないとされます。
『受精障害(精子または卵に起因するもの)』との関連性、潜在的な『黄体機能不全』や『黄体化非破裂卵胞(LUF)』との関連性が推測され、おもな原因のひとつにピックアップ障害(卵子を卵管内に採り込めない)があると考えられています。
腹腔鏡検査、子宮鏡、抗精子抗体検査、ハムスターテストなどの特殊検査も行う場合もあります。不妊原因が見つからないことから、タイミング療法か、排卵誘発剤や人工授精や体外受精などを行いながら妊娠を目指すこととなるようです。
医学的な不妊の基本検査で異常がないのに妊娠が成立しない原因として考えられるのは、卵の質、精子の機能、精子と卵の相互作用の異常、卵管因子、環境因子、子宮内膜症、着床など色々な背景があげられます。
漢方では、妊娠するための体側の条件として、3つの要素が必要と考え、体質改善を進めます。
医学的な不妊原因がないケースでも、漢方的に「妊娠しづらい状態」を抱えているケースはたくさんあります。医学的な対応と漢方の診方を併せて取り入れていくことで劇的に成果が上がる場合もあります。精神的なストレスなど病変部位として表れないものは、漢方でバランスを整えると効果的です。
自然妊娠を望まれる場合も不妊治療のプラスアルファとされる場合も、体自体を良くすることは、妊娠への前進であるといえます。
『不育症』は、『習慣性(あるいは反復)流産』とほぼ同義ですが、妊娠22週以降の死産や生後1週間以内の新生児死亡も含みます。一般的には2回連続した流産・死産があれば不育症と診断し、原因を探索します。また1人目が正常に分娩しても、2人目、3人目が続けて流産や死産になった際、続発性不育症として検査をし、治療を行なう場合があります。
妊娠はしますが、流産、早産、死産、新生児死亡のため、子どもが得られない状況。 子宮奇形、感染症、染色体異常、自己免疫疾患などを含む色々な異常があげられますが、実際の原因を明らかにできるのは半数以下といわれます。原因が明らかにできないまま、従来からの習慣的な医療を漫然と受けている場合も少なくないといわれます。
厚生労働研究班による日本での不育症のリスク因子別頻度の集計では、子宮の形が悪い『子宮形態異常』が7.8%、甲状腺の異常が6.8%、両親のどちらかの染色体異常が4.6%、『抗リン脂質抗体症候群』が10.2%、凝固因子異常として『第XII因子欠乏症』が7.2%、『プロテインS欠乏症』が7.4%となっています。
流産の原因では、最も頻度の高いのが胎児の偶発的な染色体異常で約80%を占めます。 リスク因子を調べて原因がはっきりとした人は治療を行ないますし、原因がわからなかった原因不明(偶発的な流産をくり返したと思われる方)の方は何も治療をしなくても、次回の妊娠で成功することもあります。
不育症のリスクのうち、夫婦染色体異常、偶発的流産・リスク因子不明例ではカウンセリングのみの場合もあります。夫婦染色体異常例では流産率は高いのですが最終的には多くの方が子どもを持てることも、わかってきました。低用量アスピリン療法、ヘパリン療法、ステロイド療法などの薬物療法も行われます。
漢方では、赤ちゃんが「育ちやすい状態」に整えることが期待できます。 流産への対応と同様に妊娠を維持するために必要な3つの条件を整えていきます。
妊娠の喜びからの一転は、1度でも大変なショックであることと思います。漢方では、「心身一如」(心と体はひとつのもの)と考えます。
カウンセリングで心を癒しながら、漢方薬で気の巡りを整えることが、次の妊娠と妊娠維持へつながります。漢方薬による精神的なリラックスは副作用の心配もなく、無理なく継続できるものとして、多くの方が利用されて、妊娠維持・無事出産を迎えられています。
自己の体内にある物質に対し抗体を産生し、様々な異常をもたらすものを自己免疫疾患といいます。『抗リン脂質抗体』は、習慣性流産の10~16%にみられます。
リン脂質抗体は、血管内皮や血小板の細胞膜を構成する物質で、それに対する抗リン脂質抗体は、血小板や血管壁に作用し血栓を引き起こす誘因となり、血管収縮を起こします。この現象が胎盤や子宮内膜の着床部位に起こり、流産を誘発すると考えられています。
抗リン脂質抗体陽性で反復流産の場合は、血液凝固能を抑えることで、血栓を防ぎます。低用量アスピリン療法、低用量ヘパリン療法、ステロイド療法が行われます。
漢方では、免疫バランスを整え、血のめぐりを整え、妊娠維持の力を整えることが期待できます。西洋医学での薬物治療と漢方薬による体調の調整を併用することで、より妊娠維持への成果を高めることにもつながります。
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