不妊治療と漢方治療

病院で行う不妊症の6大基本検査

不妊治療を始める前には不妊原因を見つけるために病院では必ず検査を行います。必須の検査は以下の6項目で「6大基本検査」といわれています。

(1)基礎体温の測定… 基礎体温から卵巣の状態を把握する検査です。
(2)精液検査… 数・運動率・奇形率などを調べる検査です。
(3)頸管粘液検査… 子宮頸管粘液量が十分かを調べる検査です。
(4)ヒューナーテスト(フーナーテスト)… 性交後数時間以内の運動精子を調べる検査です。
(5)子宮卵管造影検査… 子宮腔の形や卵管の疎通性を調べる検査です。
(6)経腟超音波診断… 子宮や卵巣の状態を調べる検査です。

「機能性不妊」とは

病院で行う不妊症の6大基本検査で異常が認められない場合をいい、不妊症全体の10~15%程度といわれています。この場合は漢方療法をとり入れることで、体そのものを整えるカップルが多くみられます。

病院で行う不妊治療

(1)で妊娠しなければ(2)(3)(4)と、より人偽的、難易度の高い治療へと進んでいきます。

(1)タイミング療法… 排卵日を予測し性交日を指導されます。
(2)人工授精… あらかじめ採取した精液を子宮内へ直接注入します。
(3)体外受精… 通常は体内で行われる受精を体の外で行います。
(4)顕微授精… 卵子に直接精子1個を針で注入します。

人工授精と漢方について

人工授精とは採取した精液を子宮に直接注入し、精子と卵子が受精しやすくする治療法です。性交の有無にかかわらず、受精のチャンスを得ることができますが、「受精するかどうか」「着床するかどうか」など基本的な妊娠成立の過程は自然妊娠と同様です。

人工授精のメリット・デメリット(どんなケースに有効︖)

精子が卵子に出会うための移動距離の短縮がメリットとなるケースでは、有効な方法となります。 しかし、「受精」や「着床」の段階に問題がある場合には、人工授精だからといって大きく有利になるということは期待できません。
精子の移動距離の短縮がメリットとなるケースとは、たとえば、女性の頸管粘液の状態が良好でない場合、男性の精子の運動が弱い場合などが考えられます。
病院での一般的な不妊治療プログラムでは、タイミング療法(排卵誘発剤を女性に投与し排卵日を確定し性交を行う)を数周期試みたが妊娠しない場合に次の手段として実施される治療法です。
タイミング療法と人工授精は、女性の「体内で受精」をしやすくするための手段であり、妊娠メカニズムは自然妊娠と変わりません。「着床」に問題がある場合には、タイミング療法も人工授精も完全自然でも妊娠が成立しないということに違いはないといえます。
人工授精を考えるカップルの多くが、タイミング療法で妊娠しないので、次のステップとして人工授精へ進みますが、人工授精の一般的な妊娠率が示す5~10%程度というものは、言い換えれば、性交障害または精子の移動距離の短縮が受精に必要とされるケースの割合を意味すると理解できます。

人工授精をお考えの方へ

人工授精を選択する前に・・「漢方で体づくり」という選択

漢方薬で体調を整えることは、今や大切な妊娠や出産を迎える女性の体づくりに欠かせないものとなりつつあります。
なぜなら、元々の体質的弱点に加え、「偏りのある食事バランス」「不摂生な生活習慣」「ストレス過多」などの状態が妊娠年齢の上昇に伴い長期間続くこととなり、結果的に「より妊娠しにくい状態」が頑固に複雑に形成されていく傾向があると思われるからです。
近年話題となっている、単純な加齢による内臓機能の衰えや身体機能の老化ということばかりでなく、一陽館の不妊状態解消への取り組みはさらに踏み込んだ本質的な不妊体質の改善までもカバーしているものなのです。
この点が、西洋医学的な考えによる漢方処方や各種サプリメント類などにはない領域であり、一般のお客さまが「病院の漢方と何が違うの︖」「セルフまたは相談なし若しくは軽い体質確認で購入できる漢方のどこが違うの?」「〇〇に効くサプリとどちらがよく効くの︖」などとよくお訊ねになられる疑問に対する回答でもあるのです。
人工授精に漢方を併用することは、基本的に主治医の先生の考えに従うべきです。 が、漢方はあくまで「体調を整えるもの」ですから、人工授精に併用すれば人工授精自体の成果を高めることが期待できます。
さらに、漢方のみで優先的に一定期間、妊娠に向けての体づくりに取り組むことができれば、自力の妊娠力自体を高めることも可能になってきます。
漢方薬の服用が、病院での不妊治療の妨げになるということはありえませんし、不妊治療を検討されるような状況にある方々こそ、一刻も早く漢方で妊娠に向けての取り組みを始めて頂きたいというのが私たちの願いです。

Case 1.
これから人工授精へ進むかどうかを検討している方
「次のステップだから」「時間がないから」などでなく、 タイミング療法で妊娠しない・・・・
その理由がどこにあるかを考え、選択するべきだと思います。
不妊検査で異常なしの場合は、自然妊娠でもタイミング療法でも人工授精でもどの方法でも妊娠できるはずですし、言い換えれば受精へのアプローチの問題ではなく、本当の不妊原因は別にある、ということも含めて考え直してみてください。
妊娠しないのは、「治療法」のせいではなく、妊娠しない「体の状態」にあるということから一陽館薬局では不妊体質の改善に取り組みます。
Case 2.
人工授精を5~6回実施しても妊娠しない方
人工授精で妊娠したケースの9割は6回までで妊娠しているというデータがあります。
この場合は、さらに回数を重ねることにより妊娠する可能性とその場合のリスクを検討する時期でもあります。つまり多くのケースでこの頃までの排卵誘発剤や各種ホルモン剤の投与により、大切な女性の体に相当な負担をかけ続けています。
同じ量の薬では反応が低下してきた、というような状況はもともと持っていたはずの妊娠力を失った表れでもあるという考えから一陽館薬局では本来の妊娠力が発揮できるよう体質強化に取り組みます。
Case 3.
人工授精を実施しても妊娠しないため、体外受精へのステップアップを検討している方
体外受精が必要な理由は明確ですか。体外受精は、名のごとく体外で受精を行う治療法ですから、体内での受精が困難なケースが対象となります。
体内での受精が困難なのは、男性側の問題(精子の数が極めて少ないか無精子、運動率が極めて低い、性交障害)や女性側の問題(両卵管閉塞、ピックアップ障害、性交障害)などが考えられますが、多くのケースで、「人工授精でも妊娠しないから」「高齢だから」という理由でおのずと体外受精へ進むような状況がみられます。
受精の可能性を高めるという点では、完全自然やタイミング療法や人工授精に比べ有利かもしれませんし、投薬により一度に多くの受精卵を作れたら効率が良いかもしれません。不妊治療の最後の砦として体外受精に望みを託す方も多いでしょう。
この状況の方に考えて頂きたいのは、卵子や精子の質や老化を心配するあまりかえって「強い受精卵になれない卵子や精子」を生み出す結果になっていないかどうか、さらに、受精卵はできるけれど着床しないような場合は卵子や精子の問題以上に着床するための子宮環境を整えることが先決であると考えられます。
着床しやすい子宮環境が整うことは出産までの妊娠期間中の胎児の育ちを支える条件にもつながるという考えから、目先の数か月に結果ばかりを追い求めるのではなく、1年前後先を見た体づくりにじっくりと取り組むことが結果的に早く確実な妊娠、そして出産につながると考えます。
高齢を気にされる方ほど、特に慎重によく考えていただくことをおすすめします。

体外受精と漢方について

体外受精とは、女性の卵巣から卵子を採取し、培養液の中で精子と受精させ、できた受精卵を女性の子宮に移植する治療法で、一般体外受精と顕微授精とがあります。 一般体外受精で受精しにくい場合は、多くの場合、卵子の中に直接精子を注入して受精させる顕微授精が行われます。

体外受精のメリット・デメリット(どんなケースに有効︖)

体外受精を優先的に選択されるケースとして、男性側の問題(精子の数が極めて少ないか無精子、運動率が極めて低い、性交障害)や女性側の問題(両卵管閉塞、ピックアップ障害、性交障害)など、体内での受精が困難な場合が考えられますが、多くのケースで、「人工授精でも妊娠しないから」「高齢だから」という理由でおのずと体外受精へ進むというのが現実的でしょう。
確実に卵子と精子が出会う場を用意する技術を用いることで、完全自然やタイミング療法や人工授精に比べて、視覚的に受精や受精卵の状態が確認できる点でより確実に、また投薬により一度に多くの受精卵を作る点でより効率良く受精卵が確保できるというメリットが挙げられます。
ただし、体外での受精により得られるメリットは、「確実な出会い」と「効率良い受精卵の獲得」であり、「着床できるかどうか」はまた別の問題です。
「着床」については、結局のところ、完全自然妊娠であれ、タイミング療法や人工授精であれ、体外受精・顕微授精であれ、女性の子宮環境の中で受精卵が根付いてくれるのを待つという点では同じこと。もし、着床の段階に問題があるならば、「着床できる状態」にならないかぎり、その先の妊娠も出産も実現しないままなのです。
「着床できない状態」についても研究は進歩していますが、確実に着床させる不妊治療はありません。

体外受精をお考えの方へ

■まず「体づくり」が大事です

一陽館薬局に寄せられる不妊相談でも「受精卵はできるが着床しません・・・」というケースはとても多く、「薬で刺激→採卵→受精→着床しない」を繰り返しているうちに気付いた時には着床どころか受精卵すらできない(卵子ができない)状況までに体の力を消耗してしまった、という方々が漢方に再起を託して相談されることもかなり多いのが現状です。
体外受精の場合は、一回きりの採卵で確実に妊娠していただくための相談を重ねます。これは不妊治療の担当医師の指導とは別の、妊娠を希望されている方のセルフメンテナンスだと思います。
妊娠し、赤ちゃんが生まれるとなれば、きっと居住スペースや飲食や衣類や生活環境などの準備をされることと思います。それと同じで、まずは、妊娠するための体の準備(健康状態のチェック)に自分自身が取り組むということに他なりません。
漢方薬がお手伝いできるのは、このセルフメンテナンスの領域のひとつとしてのホルモンバランスや調経であったり、内臓機能への元気補給であったりするわけです。
体外受精は、メリットに目を向ければ、「誰でも実行すれば確実に早く妊娠できる」と思いがちですが、かける予算と時間と体への負担とそして精神的ストレスは相当なものです。
予算的には、体外受精さらに顕微授精までとなれば、一陽館薬局での一般的な漢方薬代1ヶ月分が3~5万円代なら1年~2年分くらいに相当します。
もし、確実に妊娠できるとは思えない状況だとしたら、それを自分自身の体づくりに投資してあげれば、どれくらい体の状態は良くなれるでしょうか。
体外受精を実行・検討されている方は無駄に予算をかけることにならないよう、近道と思って選んだ道が出口のない迷い道とならないよう、体を大切にしてご夫婦の宝を迎えてあげてほしい、と願います。

Case 1.
ステップアップにより体外受精を検討する時期の方
これまで妊娠に至らなかった理由をもう一度整理する時期でもあると思います。
不妊原因の有無、排卵や月経の状況がどうなっているかなどに不安を抱えたまま、行き詰まりの果ての体外受精という選択をしようとしているとすれば、ここで一呼吸おいて充電期間をもち心と体の状態を万全にされると体外受精の必要性はおのずと結論がでると考えます。
体外受精こそ、良い卵子が作れる「体の力」が必要であり、着床できる子宮内膜の厚さや質が良好でなければ結果は出ません。
妊娠力に自信のない方は、あせらず体の状態を整える勇気をもつことから妊娠に近づく道が開けると一陽館薬局では考えています。
Case 2.
体外受精1回で妊娠しなかった方
採卵された卵子や受精の状況を確認してください。受精卵がたくさんできて凍結胚がある場合は、次回は着床するように漢方で子宮環境の改善に取り組みます。 採卵も受精もギリギリの状況だった場合は、次回の採卵までにしっかりと体の働きを回復し卵巣機能やホルモン活動が元気な状態に整えることが必要となります。
ここで、良い成績が得られないまま採卵を重ねることは、かえって体へのダメージを重ねる悪循環となり、体外受精での結果が困難なばかりか漢方で体質改善するにも手ごわい状態に陥ってしまうこととなります。
Case 3.
年齢的な不安からいきなり体外受精から始める方
加齢による身体機能の衰えは個人差がありますが、必然的に避けられないことですし、女性にはタイムリミットがあるのも現実です。が、年齢だけが妊娠できるかどうかを決める条件ではありませんから自身の妊娠力を把握しながら、一刻でも早く妊娠に向けて体づくりを始めることが大切だと思います。
漢方で限られた卵子の数が増えることもありませんし、過ぎた時間が戻ることもありませんが、漢方で体調が良くなれば、今ある妊娠力をしっかりと発揮できるようになります。これは体外受精と併用される場合にも治療成果を高めることにもつながると考えています。
Case 4.
体外受精が困難な状況だったり、体外受精をしたくないという方
自力の妊娠力を養い高めることで妊娠を目指しましょう。器質的に異常(明確な不妊原因)がなければ自然妊娠の可能性も考え取り組んでまいります。
迷わず自分のカラダを信じて1年程度(その方の状態によりますが)、きちんと漢方でケアすれば大きく体質は変わっていきます。

不調にも病気に起因するものと、病気のレベルではない「未病」とがあります。漢方の適応となるのは「未病」のケースです。

「未病」の段階で体調を整えておくことは病気の予防にもつながります。特に女性の不調は、ホルモンバランスや血行不良に起因するものが多く、じっくりと時間をかけながら整えていくことが必要になります。体がすっきりしない場合は、「月に数日、我慢すればいい」とか「体質だから」とあきらめずに、漢方で健康管理を始めましょう。

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